第8章 As if walking slowly(黄瀬涼太)
「心配だから、横になっててくんないスか」
妊婦は体力勝負だから寝てばかりいられないというのも分かってるけど、せめてつわりがおさまるまでは安静にしてて欲しい。
今日は息子もいないし、ゆっくり寝れるだろう。
「うん……あの、涼太も……一緒に居てくれる?」
可愛いお願いに脳天直撃されながら、寝室へと向かう。
二人でごろりと横になった。
「涼太……ちゃんとお祝い出来なくて、ごめんね。プレゼントもちゃんと買ってあるんだけど」
「気にしないでいいってば。こんな嬉しい知らせもらって、これがプレゼントっスわ」
素直にそう伝えると、大好きな笑顔が返ってきた。
「みわ、キスしていい?」
その質問に、頬がピンクに染まった。
「気分悪いなら無理しないで欲しいんスけど」
今度は、首を左右にぶんぶん。
出逢った時と変わらないその態度が可愛くて、愛しくて、紡ぎ出される言葉ごと舐めとって、呑み込んだ。
「涼太……」
「みわ、愛してる」
こくんと頷いて、その言葉を返してくれるように、小さな唇でオレを受け入れてくれた。
「涼太……お誕生日、おめでとう。生まれてきてくれて、ありがとう」
いつもの言葉、そのままお返ししたい。
みわ、ありがとう。
出逢ってから今日までずっと、オレに幸せをくれてありがとう。
オレを世界一幸せな男にしてくれてありがとう。
ずっと護るから。
ずっとそばにいて。
これからも一緒にゆっくり歩いていこう。
愛してる。
Happy Birthday,RYOTA♡♡♡