• テキストサイズ

【黒バス:R18】with gratitude

第6章 Stay Home(黄瀬涼太)


「みわのオニオングラタンスープ、美味いんスよねぇ」

「そう言ってもらえると嬉しい。ありがとう」

どちらかと言うと和食が得意な私だけれど、涼太の好物だけはなんとか上手にならねばと、何度も作ったオニオングラタンスープ。

美味しいって言って貰えると、本当に本当に嬉しい。
その笑顔が、見たいから。

……でも、ワンパターンになってしまうのは反省。
もう付き合いも長いんだもの、私も成長しなければ。

「んじゃさ、これはオレのワガママなんスけど」

「なあに? なんでも言って」

涼太が我儘を言うなんて珍しい。
いつも我慢してくれている彼に、出来る事ならなんでも叶えてあげたいけれど……。

「今日はいつものバッチリ栄養食も豪勢なディナーもお休みにして、みわのオニオングラタンスープとおつまみで、映画観ながら酒でも飲まねぇスか?」

「えっ」

「あ、勿論ダメならいいんスけど」

これは、涼太が気を遣って……くれているんだよね?
涼太はいつも私に甘いから。

「ダメなんかじゃないよ、でも折角のお誕生日だから」

折角のお誕生日くらい、頑張らなきゃだもん。
折角の……

「うん、折角の誕生日だからさ、みわとのんびり過ごそうかなって思ってるんスよ」

涼太はワインセラーの中を覗いて、今夜のお供を吟味している。
私はワインには詳しくないから、大体いつも涼太にお任せしてしまっているのだよね。

「今日はみわと出逢った年のボルドーにしよっかなぁ」

ふたりが出逢った年……懐かしいな。
まだ高校1年生だった。
まさか涼太と結婚することになるなんて。
あの時の私が聞いたらひっくり返るだろう。

「いいスか?」

「うん。私は勿論、いいんだけど……」

あの時からずっと彼に守られて、愛されて、幸せばっかり貰ってるんだ。
涼太に、お返ししたいのに。

「みわ、いっつも頑張ってくれてありがとう。今日は一緒にゆっくりしてくんないスか」

その柔らかい声音に、おひさまみたいな微笑みに、再び目の前が霞んでくる。



/ 139ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp