第6章 Stay Home(黄瀬涼太)
パソコンの画面に映し出されたのは、海常バスケ部の先輩方。
笠松先輩に小堀先輩、森山先輩や早川先輩、中村先輩だ。
出産してからはなかなかお会いする時間が出来なくて。
以前お会いした時よりも、私も含め大人になっている感じがする。
時の流れを感じるなぁ。
『おー、お疲れ』
当たり前だけれど、みんなのお部屋が映っているのが新鮮。
笠松先輩の背後には、ギターも見える。
「ご無沙汰してます」
『黄瀬がまともな挨拶してると、年取ったなって実感するよな』
「なんスかそれ、ひどい!」
沸き起こる笑いとその雰囲気は、学生の頃のままだ。
みんながユニフォームを着て走っている姿、今でも目に焼き付いてる。
「プレゼント、ありがとうございました。すんません毎年。今年なんかこんな状況なのに」
『宅配の荷物増やして悪いとは思いつつな。サイズ合わなかったらすまん』
プレゼントは森山先輩や小堀先輩主導で選んで下さっているのだと聞いてる。
今年もそうだったのかな。淡い色合いで、年齢性別問わないシンプルなデザインで長く着れそう。
「嬉しいです! サイズもぴったりです、ありがとうございました!」
息子を抱っこして画面に映るようにして、みなさんにお礼を伝える。
画面の向こうで手を振ってくださる先輩方に、息子も嬉しそうに手を振り返した。
あとはそっとフレームアウトして、必要な時にだけ顔を出そう……と思ったのだけれど。
もうすぐ3歳になる息子は好奇心旺盛。
人がいるのかとノートパソコンの後ろを見に行ったり、キーボードを叩こうとしたり。
涼太が小さなその腕に翻弄されていると、また画面の向こうからはあったかい笑いが届いた。