第6章 Stay Home(黄瀬涼太)
「ただいま。荷物、先輩方からだったよ」
「マジっスか、こんな時期なのに」
段ボールを受け取った涼太は、宛名ラベルを確認して少し離れたところで開封を始めた。
その間に私はアルコール消毒を済ませる。
「お、ルームウェアっスね」
「わぁ、素敵だね」
レースの柄のついた透明な袋は、リボンで綺麗にラッピングされていて。
中に入っていたのは、パステルカラーの手触りの良いルームウェア。
それも、3人分。
ブルーのメンズ用、ホワイトのレディース用、イエローのキッズ用。
まさか家族全員分を頂いてしまうなんて。
自宅に居る時間が長いこの時期に、なんて気の利いたプレゼント。
「センパイ達にお礼言わないとっスね。海常グループに連絡してみるっスわ」
「うん、よろしくお伝えして!」
海常バスケ部の仲良しメンバーで作ったメッセージアプリのグループトークルーム、私も誘って貰ったのだけれど、なんとなく申し訳なくて辞退した。
男同士の方がお喋りしやすかったりするかなって。
各個人のアカウントは私も知っているから、後で改めてお礼を言いにいかなきゃ。
「みわ、なんか今みんなでちょっとビデオ通話しないかって話になってんスけど、いいスか?」
「大丈夫だよ、私たち他のお部屋行ってるから」
「いやいや、みわ達もだって」
「えっ、そうなの? 私は構わないけど」
「ん、オッケー」
ビデオ通話、時々おばあちゃんとするくらいだから全く慣れていない。
一応、だらしなくない程度の格好はしているつもりだけれど、なんだか恥ずかしい。
鏡で寝癖だけチェックしておこう。
涼太は素早くノートパソコンを持って来て、何やら準備を始め、ものの5分で通話が始まった。