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【黒バス:R18】with gratitude

第3章 Sweets in the rain(紫原敦)


「壊れない……って言ったけど……やっぱ、壊しちゃうかも~……」

両腰を強く掴まれて、最奥をノックされているかのように甘い刺激が突き抜ける。

「あん、んっ、お願い、もっと……」

跳ねる身体も、飛び出していく言葉も、制御出来ない。
私は今、このひとが欲しい。
それだけだ。

「んな風に煽って、どうなっても知んないよ~?」

「っああ……」

こんなに乱れたこと、あったっけ。
こんなに求めたこと、あったっけ。
手を伸ばすと、少し汗ばんだ首筋に触れる事が出来た。
うん、この首の太さ……鍛えてるひとだ、間違いなく。
どくんどくんと脈打つ頸動脈の気配に、不思議と気持ちが落ち着く。

「何そのトロけた顔、ヒネリつぶしたくなる……っていうのは冗談だけどさ~……」

もー、と拗ねるように口を尖らせる姿は、本当に子どもみたい。
なんだろう、愛しい。

「いい、よ……潰されたい、かも」

「ちょ、マジでなんなんだし……」

少しずつ早くなっていく律動に、敦の息が弾んでくる。

「く、っ……出る」

「敦……っ」

今、気持ち良くなってくれてるんだ……そう思うと、自分が絶頂を迎える以上の精神的快感に支配された。

彼が最後の時を迎えても、暫くの間抱き合って……気が付いたら、深い夢の中に落ちてしまっていた。





「寝て……た?」

身体を起こすと、朝日が部屋中を明るくしている。
朝だ。
そして、部屋に私以外の気配はない。

夢が、醒めちゃった。
腰の辺りが重たいし、足がなんだか筋肉痛だ。
そりゃそうだよね、あんな体位、初めてだったもん。

……初めての事ばっかりだった。
そもそもワンナイトラブ自体が初体験。

貴重な経験だった、感謝しなきゃ。
見ず知らずの酔っ払いを、たとえ一晩でも愛してくれた。
あの時間、ずっと幸せだった。

……馬鹿げてるでしょ、好きになるとか。

割り切ってたじゃない、今だけだって。
分かってたじゃない。

あんなに足が長いのに、お店に向かって歩く時にふたりの距離は開かなかった。

敦が、私の歩幅に合わせてくれていた証拠だ。

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