第3章 Sweets in the rain(紫原敦)
絶え絶えな呼吸が、どんどん熱を上げて濡れていくのが分かる。
身体はこれ以上ないくらいに熱くて、こころはぽかぽかしてるみたいにあったかくて……。
おかしいよね。
長年付き合った彼氏じゃなくて、こんな一夜限りの関係で知るなんて。
このひとに愛される女性は、幸せだろうな……。
ちくり、胸に刺さるような違和感。
なんだろう、この気持ち。
「ふ〜ん……じゃあ、俺が初めてなんだね〜」
「ん、あっ」
彼が腰を振るのと同時に、綺麗な紫の髪が上下左右に踊る。
長い髪の男性に惹かれた事はなかったのに……彼らしいこの髪型、なんだか好きだ。
少し汗をかいてしっとりしている髪も、紅潮している頬も……。
「あぁっ、あっ、んぅっ……」
「……エロい声〜……」
「ぁあん……は、はっ……イキ、そうかも……」
敦はその言葉を聞くと、ぺろりと上唇を舐めた。
「みわちん、見ててあげるから思いっきりイキなよ」
6つに割れた腹筋が隆起して、怒張した屹立がひたすらに私の奥まで突き込む。
どろどろに溶けあった陰部が、このままひとつになってしまいそうだ。
敦が、見てる。
深く妖艶な瞳が、私が上り詰めるのを、言葉もなくじっと。
そして、その瞬間は間も無く訪れた。
「は……っ、あっ、い、い、イク……あ、あぁ……っ!」
自分でも驚くほどに腰がガクガクと揺れ、中に入っている敦を締め上げる。
「あっ、あ、あ」
腰の動きが止まらない。
収縮する中の動きに合わせて、はしたなくお尻を上下させてしまう。
もっと奥まで入るように、擦り付けるように。
敏感になりすぎてて辛いのに、身体はもっと彼を求めてる。
「なに……みわちん、エロすぎなんだけど〜?」
「だっ、だって、きもちい、敦、もっと、もっと」
今夜だけだもの。
1回きりの夢物語。
我儘、言わせて。
もっとあなたを、感じさせて。