第3章 Sweets in the rain(紫原敦)
それから、どれだけの時間が経って、どんな事をしたかは殆ど記憶にない。
「みわちん~、起きてる?」
「おっ……起きてる、けどこんなおっきいの……も、むり」
「無理じゃないっしょ? ほら、こんな咥え込んでんのはだーれ」
「あっ!」
敦は、繋がったまま私の両足を掴み、体重をかけた。
こんな体位、した事ない。
足が大きく左右に広げられて、膝は自分の顔の延長線上にあって、更に……結合部が目の前にある。
まるで自分のものではないように感じるそれは、ぱっくりと開いてしっかり根元まで彼を飲み込んでいる。
「みわちん、エッロ~」
「ちょ、恥ずかしい事させてるのは、そっち……あっ」
真上から突かれると、まるで串刺しにされているみたい。
ものすごい光景だ。
「普段ローション使わないと入んない事多いけど~……すげー、トロットロ」
確かに、溢れてるのが目で見て分かる。
こんなに濡れた事、あったかな。
なんか、変……。
「敦……なんか、お腹の奥が」
うまく説明出来ない。
お腹というよりも、子宮の裏側っていうか、なんか奥の方に火を付けられたみたいに、じわじわする。
「ん、イキそ~?」
イク?
でもなんか、ひとりでする時とも、さっきの前戯の時とも違う感覚。
「分かんない……私……っ、セックスでイッた事、ないから」
そう、分からない。
陰核を弄られて……とかはあるけど、繋がってる時に絶頂を迎えた事はなかった。
敦は驚いたように目を見開き、私をじっと覗き込んでくる。
やっぱり、綺麗な瞳。
「はぁ~? 本気で言ってんの~?」
「だって……」
また、恥ずかしい事を暴露してしまった。
セックスは、彼がイク為のものだったもの。
彼が先にイッて、おしまいだったもの。
正直、疲れてる時とかムラムラした時は、自分で済ませちゃう事の方が多かった。
楽だし、気持ちいいし。
だからこんな風に、大事に抱かれた事、ない。