第3章 Sweets in the rain(紫原敦)
ぬめりを纏った指先が、陰核を撫でる。
手は、どんどんと大胆な動きになっていく。
飛び跳ねんばかりの快感に、無意識に大きな身体に抱きついた。
……広い肩幅、しっかりと厚みのある筋肉が、服の上からも分かる。
ひょろりと身長だけが高いんじゃない。
むにむにと柔らかい贅肉たっぷりなわけでもない。
何、この男らしい身体。
ふんわり喋る彼とのギャップに、頬にどんどん熱が集まっていく。
やばい。
ハマったらやばい、こんなの。
割り切らなきゃ、一夜限りなんだから。
くるくると弄んだ後、突然バスローブを全開にされた。
もう、肌を隠してくれるものはない。
さっきからの行動……手慣れているようにも感じられるし、余裕がなくて焦っているようにも思える。
良かった。昨日は女らしく可愛い格好だった。
お誕生日ディナーに合わせて、カジュアルないつもの服よりも少しドレッシー。
ヘンテコなトレーナーとかで出逢ったんじゃなくて良かった。
イメージってやっぱり大切だもの。
びしょ濡れになったのが玉に瑕かな。
あの服を見るたびに嫌な気持ちになるところを、彼に救われてる。
今後、見るたびに今夜の事を思い出すんだろうか。
ポイとバスローブをベッドの外に投げ捨てた手が、また陰核を弄くり回す。
もう、他の事を考える余裕が……冷静になるきっかけが全くない。
「はぁ……っ、あっ、あっ」
指の動きに合わせて身体も声も反応してしまう。
まるで、私自身が楽器になって、彼に奏でられているみたいに。
このひと、経験豊富だ。
この動き、そうに違いない。
そもそも、セックスってどうするんだっけ?
元彼との行為は、もはや習慣っていうか、慣れ過ぎててただの作業になっていた。
疼く。
もっともっと先の快感が欲しい。
このひとなら、見たことのない景色を見せてくれるような気がして。
堕ちてしまいたい。
嫌な事、全部忘れてしまいたい。
目が合って、言葉も無く唇を重ねて……
外側ばかりに触れていた指が、入り口にあてがわれた。