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【黒バス:R18】with gratitude

第3章 Sweets in the rain(紫原敦)


なんだか凄く……救われた気分だ。

マスターの言葉も勿論のこと、口から体内に入って、中から癒してくれるこのスイーツ達が一番の功労者かもしれない。

きっと、優しいひとが作ったんだろうな。
愛がこもってるのが伝わってくるもの。

「マスター……やっぱり、まだ飲みたいです。駅前まではタクシーを使うので、ご心配には及びません」

「……かしこまりました」

「えへへ、やったぁ」

それから、一体何杯飲んだかな。
結構お酒には強い方なのに、もう最後の方には記憶がない。

寝てたみたいだ……目の前には、見覚えのない天井。

飲み食いしているうちに眠くなってきちゃって、それでお店を出たんだった。

あれだけ食べたんだ、かなりの支払額だったはずなんだけど……いくらしたんだっけ。
カード払いにしたんだっけ、全く覚えてないや。
帰ったら明細を確認しなきゃ。

タクシー……乗ったんだっけ。
運転手さん、こんな酔っ払いじゃ困っただろうなぁ。

ホテルは結局どこにしたんだろ?
何にも覚えてないとか、やばくない?
まあ、とにかく無事だったから結果オーライだ。

それに良かった、頭痛とかはない。
これで二日酔いとか、台無しだもんね。
お酒に強い身体に産んでくれたお母さんに感謝。

まだ、朝には程遠い室内の暗さ。
シャワー、浴びておこうかな……。

覚醒しきっていないまま身体を起こすと、窓際に……え、誰か、座ってる?

一気に目が覚めて、背筋を冷たいものが走る。

待って、本当に覚えてない。
誰かと一緒に移動した?
いくら考えを巡らせても、記憶の箱を順番に開けても、見つからない。

周りの景色からして、シティホテルなのは間違いない。

「……どなた、ですか」

薄暗い部屋の中、相手の顔が確認出来ないから、覚悟を決めて話しかけた。

相手は窓の外を見ていたらしく、私の声を聞いてこちらを振り返った。

「……え……どうして」

そこに座っていたのは、アメジストの妖精さん。


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