第13章 Mic check!(黄瀬涼太)
定期的に配信するなら、自宅の一角を防音室にした方がいいかなとか、それなら子どもたちが楽器演奏してもいいように防音エリアを増やそうかとか、色々構想はありつつも、なかなかきっかけが掴めずにいるようだ。
『そうそう、今日はみんなから貰った質問に答える配信っスね』
いつもはゲーム実況の配信だけれど、周年の記念配信と、お誕生日だけはこうして姿を現しての雑談配信。
普段は声だけの配信だからか、雑談配信にはリスナーの数がいつもよりもすごく多くて、視聴者数を数えるカウンターが回りっぱなしになっている。
そんな私も、家族でありながらも配信を楽しみにしているリスナーの一人。
100%お仕事モードでもなく、オフモードでもない姿は貴重なのである。
『事前に募集してた質問ね、今日はいくつか答えていこうと思ってるんスよ。これ、抽選画面見えてる?』
画面に、スロットのような、3桁の数字が表示されるためのボックスが表示された。涼太の姿は、合成して端に映るようになっている。
コメント欄には【見えてるよー】のコメントが流れ始めた。
先日ダウンロードと設定をお手伝いした、抽選アプリの画面だ。
『でもね、やらせって思われたくないからこの場で抽選することにしたんス……えっと、こうかな』
画面中央に抽選開始の文字が表示される。
『んじゃこれから抽選するけど、ルールはひとつ。人に迷惑をかけるような質問はスキップで』
マウスのクリック音とともに、番号がひとつずつ埋まり、結果が表示される。
表示された番号を、予め作っておいた皆さんからのメール一覧から自動で抽出し、画面端に表示されるように設定してある。