第2章 unconfident(氷室辰也)
「入ったよ、みわ……」
「っう……」
入って来た瞬間は、メリメリと狭い所が無理矢理開かれる感覚に痛みを覚えたけれど、思っていたよりもずっと痛くない。
痛みよりも勝る圧迫感に、どうしたらいいのか分からなくなる。
「みわ、痛くない?」
「んっ……大丈夫、っ」
痛くない。
でも……熱い。
彼は、まるで生き物みたいに、私の中を抉り取っていく。
「やっ、あ、あっ」
何、これ。
感じた事ない、こんなの。
私の中に、氷室さんが、入ってる。
「ん、ん、ひむろさ、ん」
「みわ、名前で呼んで」
「なま、え……?」
名前。
一度も、呼んだ事がない。
「名前だよ、俺の名前、分かる?」
彼の、名前。
思い浮かべると、頭の中がその名前でいっぱいになる。
大好きな名前。
「たつ、や」
「っ……思ったより、クるな」
グッと深くなる挿入と、少しずつ速くなる律動。
「あっ、辰也、たつやぁ」
「辛く……ない?」
漫画に書いてあるよりも、異物感が凄い。
でもそれが、彼と繋がっているという、実感。
「……ん、だいじょ、ぶ」
彼の動きに合わせて、呼吸が乱れていく。
快感というものにはまだ程遠いけれど、彼とひとつになれているという事実が、こころから身体まで浸み出していく。
「あ……ん、ンっ、あ……ッ!」
「ごめん、ね、みわ……初めてじゃ、中で感じるのは難しそうだね……」
言われている意味が分からなくて、ただただ身を任せていると、辰也はまた、私の弱い核を弄りだした。
「ひ、やぁ!」
もう、一度イッてしまったそこは、赤く充血して敏感になってしまっているはず。
少しの刺激でも腰が浮くほど気持ちが良くて、彼のモノを出し入れされながら弄られると、身体のどこにも力が入らないまま、ただただ喘ぐしか出来なくなった。