第2章 unconfident(氷室辰也)
「みわ、……」
「ん……?」
彼の声が遠くに聞こえて、返事もままならないでいると、突然、何かが私の中に入ってきた。
「っ、あ!?」
擦れるような僅かな違和感に、身を捩る。
痛くて我慢出来ないとかじゃなくて、本能での行動だった。
「少し、慣らすね」
「んっ、ん」
指、だ。
氷室さんの指が、私の中に……
もう、頭の中はパニック寸前。
くちゅくちゅと耳に響く音と、ジワジワ遠く感じる快感に、彼が言ったのは"鳴らす"ではなく"慣らす"なんだと気が付いた時には、随分と時間が経っていた。
つまり、次は……
ゴクリ、喉が鳴るのが自分でも分かる。
私ばっかり気持ち良くして貰って……彼はずっと我慢していた筈。
辛くないんだろうか?
「氷室さん、あっ、だい、じょうぶ……?」
「……みわ、ごめんね。挿れて……いいかな」
見上げると、彼らしからぬ余裕のない表情。
頬を伝う汗が、艶めかしい。
彼にこの顔をさせているのは私なんだという、感じた事のない優越感に、震えるほどの喜びを感じていた。
もっと、彼を感じたい。
ひとつに、なりたい。
「う……ん」
その返事を聞いてすぐに、彼は唇にひとつキスを落とすと、ゴソゴソと準備を始める。
視界に入ってきたものの大きさに、一瞬頭が真っ白になった。
「待っ……やっぱり、そんなの、入らな……ッ」
「ごめん、こんな可愛いみわを見てたら、もう我慢出来そうにないよ……力抜いて……みわ」
「……ん! 痛っ……」
グリ、と押し進められた腰は、熱い楔を少しずつ私の中へと沈めていく。
「あ、あぁ……っ」
肌が総毛立つ程の感覚。
これが、彼を受け入れる感覚。