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【黒バス:R18】with gratitude

第11章 thank you for everything(黄瀬涼太)


子ども達は父が家まで送り届けてくれるとは聞いてるものの、何が起こるか分からないのが育児というもので、いつでも運転できるよう、二人ともノンアルコールカクテルで乾杯した。

「あらためまして……涼太、お誕生日おめでとう」

「へへ、うん、ありがと」

温かいスープをひとくち。
コンソメと飴色になった玉ねぎの甘みが、疲れた身体に沁みわたる。

「みわのオニオングラタンスープはホント美味いんスよね。店出せるっスわ」

「嬉しいな。前はレシピ通り作るだけだったけど、最近は自分なりにアレンジ出来るようになってきたよ」

照れ臭そうに笑うのがまた可愛くて。
存在が癒しである。

最近は肉をわさび醤油で食べるのに二人でハマってる。サーモンのマリネもオレがリクエストしたものだ。
ケーキは子ども達がいる時に一緒に食べる約束をしてる。

食事をしながら今日のイベントやバスケの事をおしゃべりして。
留守中の子どもやみわの話を聞いて。

胸がじんわりと満たされていくのを感じる。
こうやって家族や夫婦で過ごす時間は、試合や仕事で得たものとは違う、心の栄養になる。

「はー幸せ、美味かった。ご馳走様でした!」

「お粗末さまでした。お腹痛くない? 胸焼けしてない?」

「全然。めちゃくちゃ元気になったっス」

「無理しないでね。……あ!」

食後の緑茶を運んで来たみわは、パタパタとテレビへ向かった。

「今日、放映日だった!」

「え? なんの?」

「この間インタビュー受けたって言ってた、あの」

「あーー、だいぶ前のアレか」

夕方の情報番組に取材されたヤツだ。
みわは、録画予約していてもリアルタイムで観たいらしい。


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