第10章 Change……!?(黄瀬涼太)
まさか、このタイミングで生理が始まってしまうなんて。
生理痛に苦しんだ涼太は、薬が効いたのかぐっすり眠っている。
本当に辛そうで、申し訳ないことをした。
ゆっくり眠れるといいけれど……。
先ほど夜用のナプキンをつけたし、暫く寝ていても問題ないだろう。
でも、付け替えたりする事を考えたら、ショーツ型のナプキンの方が楽かなぁ……。
涼太が寝ている間に、ちょっとお買い物に行って来よう。
服を着て靴を履き、外に出る。
なんて凄い身体なんだろう。
鍛えられた筋肉は、永遠に疲れないんじゃないかと思うくらい軽く感じさせてくれる。
それに、いつもよりも視点が随分と高い。
長身の彼が見ている世界はこんな感じなんだ。
ガラスに映る姿、絵になりすぎてつい見惚れてしまった。
車で大きめのドラッグストアへ向かい、お目当てのコーナーへと移動した。
ナプキンはショーツ型と、夜用が少なくなったから買って……あ、鎮痛薬も買い足しておこうかな。
ドラッグストアを出た所で、私より少し年代が上の女性が話しかけて来た。
「黄瀬涼太さんですよね?」
一瞬何を言っているのかと思ったけれど、そうだ、今私の外見は涼太だった。
「はい、そうです」
否定するのも変だしと思ってそう返事したけれど、まずかっただろうか?と咄嗟に考えを巡らせる。
「デビュー戦の頃からファンなんです! 実物超格好良くてビックリしました! 握手お願い出来ますか」
……わ、すごい。
涼太のファンの方だ。
「いつも応援ありがとうございます。長い間応援して下さって、嬉しいです。ご期待に添えるよう、これからも精進してまいりますのでどうぞ宜しくお願いいたします」
「わあ……っ、はい、これからもずっと、応援してます……」
「ありがとうございます」
握った手は折れてしまいそうなほど細くて、小さく感じた。