第10章 Change……!?(黄瀬涼太)
「痛すぎて吐いたのとか人生初なんスけど」
漫画で読んだことある入れ替わりエピソードと、全然違う。
なんかもっと、ラッキースケベ的な展開はないんスか?
腹がずっとズンドコ言ってる。今なら演歌歌手になれるかもしれない。
「薬飲むと楽になると思うから、ちょっと胃に何か入れようか」
「こんな……下から絶えず出まくってるのに……食べるんスか……?」
なんだろうこの、血の塊みたいなものがドロリと流れ出ていくような感覚。
めっちゃくちゃ気持ち悪い。
「ふふ、ごめんね、笑っちゃいけないんだけど」
「いやマジ笑えないんスけど……みわ、毎月こんなんでどうやって生きてるんスか……」
「慣れるものなんだよ〜。お粥あっためたから一口でも食べて」
みわが天の上の人に見える。
女の人は痛みに強いとか聞いたことあるけど、ここまでとは。
いやいや、みわだっていつもしんどそうにしてるじゃないか。
「アリガト……」
「横になっててね」
お粥を数口食べ、鎮痛薬を流し込んでからベッドへ倒れ込んだ。
等間隔で物凄い痛みがやってくるのだ。
今、波が去ったところだから次の波へ備えなければ。
「これ、薬はいつ効くんスか」
「んー、そのうち……30分くらいしたら……かなぁ」
30分。
今のこの状態からすると、永遠にも感じられる時間だ。
「うーーーー、ゔおぁーーーー」
「だ、大丈夫!?」
「いや、ほんと、ほんとに、こんな身体の中からぶっ壊されてるみたいな痛み感じたことないんスようううううう」
下腹部の裏側を雑巾絞るみたいに、ぎゅーーっとされている感じ。
「ちょっと寝たら楽になるかも?」
「いや痛くて寝れない!」
とは言え、オレも今まで生理痛に苦しむみわに、横になれとかあっためろとか散々言って来た。
みわはいつもありがとうと微笑んでくれてたけど、そんな広い心を持てそうにない。
「みわ、すげえ、オレこれ毎月は無理、今この瞬間がもう無理」
散々騒いで転がった挙句、いつの間にか気を失うかのように意識を飛ばしていた。