第10章 Change……!?(黄瀬涼太)
「なんか、すげーリアルな夢みたいっスね……」
「そう、だよね、夢だよねこんなの……」
なんか、この間ふたりで観た映画みたいだ。
入れ替わってる!?とか言えばいいんだろうか。
「ま、目が覚めたらまたいつも通りっスよ」
「うん、寝よ」
なんか、変な気分だ。
自分よりデカい個体が横に寝てる。
みわはいつもこんな感じなんだろうか。
「おやすみ、みわ」
「おやすみなさい」
あー……それにしてもマジでダルい。
腰は骨が外れたんじゃないかってくらい軋んでるし、なんか……股の間っていうか、腹ん中っていうか、ジクジクするような違和感もあって。なんだこれ。
感じたことのない不快感を抱きつつも、目を瞑るとすぐに意識が遠のいた。
「……で……」
窓から差し込む光がだいぶ強くなってから、オレ達は再び目を覚ました。
「おはよう……」
オレの目の前にいるのは……やはり、オレの姿をしたみわだった。
「マジ、なんで戻ってないんスか」
「流石にこれは夢じゃないよね……?」
お互い、入れ物の身体をぺたぺたと触ってみる。
感触が自分のそれとそもそも違う。
なんかふわふわ柔らかい。
「中身入れ替わるとか、映画の中の出来事なんスけど」
「寝て起きても夢が醒めてない、なんてことあるのかな……」
「そんなことある!?」
顔の前で開いた手のひらは小さく、細く長い指が連なってる。
夢ではない、と思う。
夢にしては意識がハッキリしすぎている。
一体、オレ達に何が起こっているんだ?