第10章 Change……!?(黄瀬涼太)
開いた視界に映し出されたのは、見慣れた自室の天井だ。
辺りは薄暗く、まだ一日が始まろうとしている時間帯ではないという事が、覚醒しきってない頭でも分かる。
……なんかすっげえ、ダルい。
寝起きのハズなのに、寝る前より疲れてる。まるで、全身に重しをつけてるかのように。
風邪引いた時とはまた違う、これが倦怠感というやつだろうか。
なんだっけ、昨日……そうだ、昨日はみわがオレの部屋に泊まりに来てくれたんだった。
明日がオレの誕生日だからって、わざわざ休んでくれて。
誕生日当日はオレもイベントや何やらで夜からしか空いてないから、その前祝いに会おうって事になったんだっけ。
そんで昨夜は……みわがめっちゃ積極的に甘えてくれたもんだから、ついスイッチが入ったんだった。
あー、昨日の、すっげー良かったなー。
暴走しすぎて身体に疲れが出たんだろうか?
寝顔を眺めようと、腕の中の恋人の顔を覗き込もうとして……
「……え?」
目の前に、裸のオレが寝てる。
ん?
いや、この顔にこの髪。間違いなくオレだ。
オレの前にオレがいる。
何これ?
幽体離脱?
ドッペルゲンガー?
いやいや、そんなわけないか。
ということは。
「なんだ、夢か……」
えらいリアルな夢だ。
ダルいしもう一回寝よう。
「あの……涼太……」
目の前のオレが口を開いた。
声が自分でも、口調で分かる。
「……みわ?」
「……うん……そっちは私だけど……中身は涼太……だよ、ね?」
「え?」
『私』?
髪をかきあげようとして、気がついた。
オレの腕じゃない。
色が白くて、どこもかしこも細いこの腕は、みわのもので間違いない。
ホクロの位置が一緒だし。