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【黒バス:R18】with gratitude

第9章 Some things never change(黄瀬涼太)


「あー……もしかして、オレの誕生日に関係ある?」

うっ。
こ、ここはポーカーフェイスで……

「相変わらず全部顔に出んのが可愛すぎ」

……長い付き合いの涼太に通じるわけがなかった。

「も、もう本当に申し訳ないんだけど、ちゃんと準備出来てなくて……」

大きな手がぽんぽんと、俯いた私の頭を撫でた。

「今日は買い物に行かなくていいから、寝ててくんないスか」

「え……それは、どういう」

「オレからのお願い。幼稚園迎えに行く間だから、ほんの少しの時間だけど……お昼寝してて」

涼太の発言の意図が汲み取れなくて、首を縦に振れない。

「私も行くよ、お迎え」

「んーん。たまには父親らしいコトさせて」

……そう言われてしまったら、断れない。
世界で一番私の事を知っている彼に、勝てるわけがないのだ。

「さ、食後のお昼寝散歩に出発っスよ〜」

涼太は寝ている娘を抱っこ紐に乗せた。

「あ、みわ」

なぁに? と言おうとした瞬間、琥珀の瞳が視界を埋め尽くした。

続いて、唇に柔らかい感触。

「……っ!?」

「おやすみ」

涼太は爽やかに微笑むと、絶対寝てねと言って出掛けて行ってしまった。

突然のおやすみのキスに、魂ごと抜かれた。
反則、反則、反則だってば!!

……どうしよう。
お昼寝……なんて、していいんだろうか?
洗濯物もあるしお皿も洗わなきゃだしと思って家中を歩いたけれど、全部終わってる。

さっと掃除機をかけて、あたたかいルイボスティーを再度ひとくち。

「あー……」

張っていた糸が、ぷつんと切れたみたいだ。
何をする気力も湧いて来ない。

きっとこんな状態でプレゼントを選びに行っても、決まらずただ無駄に時間を過ごすだけだろう。
適当に選んだものよりも、ちゃんと時間をかけてゆっくり選びたい。
形だけのお祝いが目的じゃないもの。

ありがたく、少しお休みをさせて貰うことにしようかな……。
うう、意志が弱い。
とりあえずお風呂を沸かして、ご飯を炊いておく。

寝室に入って、スマートフォンで30分のアラームをセット。
あれこれ考えごとをしていたのに、いざベッドへ入ったら数秒で記憶がなくなってしまった。


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