第2章 海と大地のまんなかに。
背後に振り向いた私の目に映ったのは、数人の女子に囲まれて腕を掴まれているまなかの姿だった。
「うわあぁっ、見て!聞いてた通りだっ」
一人が掴んだまなかの腕を高く持ち上げ、窓の近くへと持って行く。
すると、まなかの胞衣に太陽の光が反射して、キラキラと光った。
「肌ピカピカ光ってる~‼︎」
「ラップしたコンビニ弁当みたいっ!」
不思議そうにそれを見ている人も居れば、あからさまに馬鹿にしている人も居て。
この人達は、嫌がっているまなかの気持ちも察せないような人達なのだと思った。
簡単に言ってしまえば少し、彼女達に失望してしまったのかもしれない。
『……やめてよ』
小さく吐き出した私の言葉なんて聞こえていないみたいに、クスクスと笑い出す彼女達が許せなかった。
「人間じゃないんだやっぱり~」
その言葉を聞いた瞬間、私の中で何かが弾けた。
『やめろって言ってるでしょ!!』
「やめてくださいっ!」
私と、声を荒らげることなんて滅多にないちさきの叫びに、彼女達は思いっきり顔を顰めてみせる。
自分達がそんな顔をしていいと思っているのだろうか。
「なんで?いいじゃん見せてくれたって」
まるで自分達のしていることの何がいけないんだとでも言うかのような物言いに、腹が立つと同時に呆れてしまう。
『あなた達……、さっき何て言ったか覚えてないの?』
私が声に怒りを込めて言っても、皆一様に訝しげな顔をするだけだった。
そうしていると何故か、意味もなく泣きたくなった。
光みたいに、自分に正直に、友達の為に怒れたらって思うけど、ここで彼女達を怒鳴りつけるだけの勇気が、今の私にない。
だから、誰かこの人達を止めてよって、まなかを助けてって、そう心の中で叫んでいるだけ。
そんな自分が情けなくて、唇を噛む。
きっと一番、光に助けを求めていた。
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