第2章 海と大地のまんなかに。
その様子を見た光は小さく舌打ちをしていたけれど、そこからは何も言わなかった。
私はほっと息を吐いて、まなかの自己紹介を黙って聞いているクラスメイト達に目を向けた。
光からしてみれば、私のしたことはただのお節介だったかもしれない。
それでも、さっき光の態度だけを見て光の全てを判断されるのは嫌だと思ったんだ。
よく第一印象が大事だと言われるけれど、クラスから見た光の今の印象は最悪だと思う。
光がこれからどんな目で見られるようになるのか、簡単に想像がつく。
だけど、本当の光はただ優しすぎるだけでそんなに悪い奴じゃない。
優しいからこそ、鹿生のみんなを貶すようなことを言われてあんな態度をとってしまっただけなんだ。
「じゃあ、それぞれ席に着いてねぇーー」
後ろから二番目の列に誰も座っていない席が四つ、朝の男の子の後ろにぽつんと置かれた机がひとつある。
廊下側の席から光、まなか、ちさき、要の順に先生に名前を呼ばれ、どうやら私があの席らしい。
少しだけみんなの隣に並べない寂しさを感じながら、先生に言われた通り窓際の一番後ろの席を目指す。
(このクラスにも、光のことをわかってくれる人がいるといいな…)
そんな淡い期待を抱きながら歩いていたけれど、私達に向けられた好奇の目はいつまで経ってもなくならない。
ギッと言う少し不快な音を立てながら椅子を引いて腰を下ろすと、やっとそれがなくなる。
ほっと息を吐いて前を向くと、首から上だけを後ろに向けている朝の男の子と目が合った。
黒く澄んだ瞳はじっと私を見つめた後、私が首を傾げる間もなく前を向いてしまった。
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