第128章 不吉な暗示は重なりがち。
時空が歪み、開いたゲート先の異空間へと落ちた葵咲。高くはないが、それなりの高さから落ちて尻もちをつく。
葵咲「…ったたたた…。」
落ちた場所にて辺りを見渡す。そこは全くの別世界。しかも邪悪な空気が漂い、薄暗くておどろおどろしい。空気は澱んでおり、血なま臭い異臭を放っていた。
葵咲「・・・・え?何…?ここ、何処?」
葵咲が呆然としていると、背後に不穏な気配が。
―― ズォォォォ!!
身体に九字紋(くじもん)が刻まれている異形の化け物が姿を現す。
葵咲「えええぇぇぇぇ!?ちょ、あれ!なんか見た事あるやつ!双星の陰陽師に出てたやつゥゥゥ!ケガレェェェェェ!?」
そう、葵咲が落ちた場所は禍野(まがの)。双星の陰陽師でお馴染み、ケガレの棲家である。突然のケガレによる襲撃。ケガレを祓う術は持ち合わせていない。葵咲はきゅっと目を瞑った。
己の最期を覚悟したその時、ズシャッ!という殺傷音が響く。葵咲(じぶん)に痛みはない。
葵咲「・・・・・っ?」
恐る恐る目を開けると、目の前には陰陽師の衣を纏った男性が立っており、葵咲へと手を差し伸べた。
葵咲「!」
「大丈夫か?」
葵咲「あ、…ありがとう、ございます。」
何が何だか分からない状況ではあるが、とりあえずは助かった。葵咲は男性の手を取り、立ち上がる。危機的状況に変わりはないが、陰陽師が一緒にいるのなら安心だ。ホッと胸を撫で下ろしていると、男性がボソリと呟いた。
「…探していた。やっと、見付けた。」
葵咲「え?」
「太陰を・・・・!!」
葵咲「・・・・・・・は?」
聞き慣れているようで聞き慣れないワードに、葵咲は目を瞬かせた。