第128章 不吉な暗示は重なりがち。
真選組一行は境内に入って拝殿へと並ぶ。そうして自分達の順番が回って来て手を合わせた。
葵咲は丁寧に二礼二拍手一礼を行ない、心の中で住所と名前を言ってお参りする。
(葵咲:昨年一年、無事に過ごせました事、心より感謝申し上げます。今年もどうか、真選組の皆が無事に過ごせますように。この幸せが…ずっと続きますように・・・・。)
お礼参りとお願い事を終え、拝殿を後にする。先に参拝を終えた他の隊士達を探してキョロキョロしていると、総悟が葵咲へと声を掛けた。
総悟「葵咲は何をお願いしたんですかぃ?」
葵咲「えへへ、内緒。」
聞かれて困るお願い事ではないが、口にするのは何だか恥ずかしい。照れ隠しで誤魔化していると、二人の会話を割って入るように山崎が皆に呼び掛けた。
山崎「折角ですし、皆で絵馬書いて行きません?」
近藤「そうだな、そうしよう!」
近藤の号令で、隊士達は社務所に並んで絵馬を購入。各々が新年のお願い事を書き始めた。
(葵咲:流石に土方さんとの事、書くわけにはいかないよね。誰に見られるかも分かんないし。『真選組の皆と楽しく仲良く過ごせますように。』かな。)
記入するお願い事を考える葵咲。内容を決めたその時、突如持っていた絵馬の中央に亀裂が入って真っ二つに割れてしまう。
葵咲「っ!?」
近藤「あわわわ…っ!?」
葵咲は絵馬に視線を落としながら固まる。それを傍らで見ていた近藤も顔面蒼白だ。
(葵咲:なんで?…なんだろう、嫌な予感がする…。不吉な予感が…。)
葵咲「・・・・・。」
葵咲が言葉を失っていると、それをフォローするように近藤が社務所の巫女さんへとクレームをつけた。
近藤「ちょ、ちょっと巫女さんんんん!?これ不良品なんじゃないの!?正月早々これはねぇよォォォォォ!!」
綺麗に二つに割れた絵馬を見て巫女さんも慌てる。葵咲から絵馬を回収し、新しい絵馬を手渡した。
「す、すみませんんん!!なんでだろ、検品したはずなのに…。とりあえずこちらをお使い下さい!」
近藤「単なる製品不良だから気にするこたァねぇよ!なっ!?」
葵咲「う、うん…。」
近藤に励ましてもらうも、やはり気にはなる。気持ちが完全に晴れる事はなく、落ち込んだまま絵馬を書いた。
近藤「次!次行こうぜ!気を取り直して皆でおみくじ引こう!!」
