第127章 芸事に家柄は関係ない。
対応にあたる二人を前に、近藤が葵咲へと話し掛ける。
近藤「お前、箏弾けるのか。」
葵咲「昔ちょっとだけやってた事があって。」
近藤「今まで聞いた事なかったが。」
葵咲「まぁ、言う機会もなかったし。」
真選組で弾く機会はまずない。わざわざ言う事でもなかった為、今まで話さず終いだった。だがここでふと何かを思い出したように山崎がポンと手を叩く。
山崎「そういえば葵咲ちゃんって色んな資格持ってたっけ。確か真選組(うち)に入る時、履歴書に色々書いてたよね?」
葵咲「うん。でもお箏のお免状は持ってないよ。完全に独学というか、趣味程度だったから。」
先生になるつもりはなかった為、免状までは取得していない。その為、履歴書にも記載はしていなかった。葵咲達がそんな話をしていると、運営の男性が携帯電話の通話口を押さえながら葵咲へと更なる打診を行なう。
「あと、三味線との合奏曲もあるのですが…。」
葵咲「!」
(土方:…ん?)
少し顔を強張らせる葵咲を前に、土方は疑問符を浮かべる。顔色が悪いという程ではないが、返答に目を泳がせる葵咲に、運営男性も気を遣う。
「こちらは無理なら無しでも結構ですよ。」
葵咲「いえ、大丈夫、です。」
土方「?」
再び笑顔に戻して承諾した。
葵咲は何か懐かしむような表情で目を細める。
(葵咲:三味線、か・・・・。)
関係者への連絡が完了し、運営の男性二人が葵咲へと向き直る。
「とりあえず、こちらで音合わせお願い出来ますか?あと、爪革のサイズ合わせと。」
葵咲「分かりました。」
そうして土方達はひとまず葵咲を見送り、葵咲は男性二人について行った。
(葵咲:お箏、触るの何年ぶりかな。・・・・懐かしいな。)