第127章 芸事に家柄は関係ない。
一行が本殿へと向かうべく参道を歩いていると、気になる会話が耳に飛び込んできた。
「おい、まだ来ないのか?」
「それが…急遽体調崩したって…。」
「ハァ!?おい、どうすんだよ!もうすぐ本番始まるぞ!」
近藤「ん?なんだ?何かあったのか?」
思わずそちらを見やる真選組一行。見ると中年の男性二人が困った様子で頭を抱えていた。
「流石にあの曲を尺八だけってのもなぁ。しかも新年一発目だし…。」
葵咲「どうかしたんですか?」
あまりの様子に、たまらず葵咲が声を掛ける。話し掛けられた二人は葵咲達の方に目を向けて答えた。
「今からお正月の野外イベントで数曲程度のミニコンサートを開くんですが、トップバッターの箏(こと)奏者が体調不良で来られなくなったらしくて…。」
山崎「コンサートは俺達の出る幕じゃないですね。」
近藤「そうだな。」
市民の皆さんを助ける為に働く組織とは言え、真選組は警察。音楽は全くの専門外。楽器に触った事すらない者達も多数おり、流石に対応は出来ない。
運営の二人は再び頭を抱える。
「次の出番の時瀬高校の子達の中に弾ける子がいるか聞いてみるか?」
「そうですねぇ。」
山崎「なんで銀魂(ここ)に時瀬がいるんですか。」
畑違いとは言え、ツッコミは的確に。思わずツッコんでしまう山崎である。ちなみに“時瀬高校”とは、“この音とまれ!”の住人だ。
話が流れてしまいそうになる中で、葵咲はおずおずと手を挙げる。
葵咲「あの!私、お箏なら弾けますけど。」
「!」
それには土方や近藤達、真選組の面々も驚いた様子で一斉に視線を向ける。そして運営の男性が期待に膨らんだ顔を浮かべながら反応した。
「本当ですか!?」
葵咲「ああ、いや。勿論曲にもよりますけど。長年のブランクもありますし…。」
「曲は“春の海”です。宮城道雄先生の。」
葵咲「それなら多分弾けます。」
「良かった~!」
葵咲「あ。今爪持ってないんですが…。」
「爪ならこちらで準備します。」
葵咲の言葉を聞いて笑顔を輝かせる運営の男性二人。二人は急いで関係者らしき人物達にそれぞれ電話を掛け始めた。
ちなみに、“春の海”とは、お正月によく流れている曲である。(気になる人はYouTubeで検索してみよう!)