第127章 芸事に家柄は関係ない。
土方は深く目を瞑って頷いた。
土方「…そうか。」
近藤「で?どうだったんだ?カウントダウンライブは。」
土方「ああ。良かったよ。…その、近藤さんにも感謝してる。」
当初は近藤の為のダブルデートだった。それが結局、自分達だけ満喫する形となってしまった事に申し訳なさすら感じていた。
照れ臭そうに視線を逸らしながら頬を掻く土方。土方の本心が見えた事で、近藤は安心したようにフッと笑みを漏らした。
その会話を引き継ぐように、今度は山崎が土方へと質問する。
山崎「でもライブの後の事は、ちゃんと副長がプラン立ててたんでしょ?」
土方「えっ!ま、まぁ…大した事ァしてねぇけど。」
急にあたふたとし始める土方。これは何か面白い話が釣れるかも、そう思った山崎はニヤニヤしながら土方を肘でつつく。
山崎「とか言ってぇ~、実はスイートルームとか予約してたんじゃないんですか~?」
―― ぎくっ。
まさかの的を得た指摘に土方は思わず目が泳ぐ。
土方「べっ!別に!?葵咲(あいつ)には普段から仕事でも世話になってっから!その労いも兼ねてちょっと良いとこ予約して(とって)ただけだよ!」
あまりの挙動不審具合に図星だと察する。今度は近藤が問い質した。
近藤「何処のホテル予約してたんだ?」
口を噤む土方。なおも二人にじっと見つめられる事で、土方は観念したように小さな声でポツリと呟いた。
土方「・・・・ホテル王蔵、大江戸…。」
近藤・山崎「・・・・・。」
江戸でも有名な高級ホテル、ホテル王蔵 大江戸。江戸のホテル御三家のうちの一つ。江戸内有数の高級ホテルとなれば予約は必須。時期や用途(催事ごと等)によっては数ヶ月前から予約しなければ予約が取れない場合もある。
二人が付き合う事になったのはクリスマスの日から。となれば、タイミング的にはその直後に予約したのだろう。逆算して現実を見る事で、近藤は自分が気を遣ってカウントダウンライブチケットなど準備しなくても良かったのでは?という結論に至ってしまう。