第7章 しち (BSD/中原中也)

｢一寸待って、中也。私、そんなこと太宰に云ってないし、てか先ず思ってもいないよ…｣

｢ああ？何だと？｣

｢確かにさっき中也の前に太宰の様子見に行ったけど、他愛無い話しかしてないし……あ、でも、マフィアなんか辞めて探偵社に来ない？とは云われたな、即断ったけど。｣


嗚呼もう、また太宰の奴遊びやがったな。

太宰のあの他人を小馬鹿にしたような顔が思い浮かんでイラッときた。お前のせいで此方人等(こちとら)人間関係の危機だ糞が。太宰は一回精神崩壊の刑決定。

けれど、さっきの期待を裏付けるのは今しか無いかも知れない。私だって、前に進めるものなら進みたいから。


｢で、中也は何て云われたのよ。｣

｢……がマフィア抜けて探偵社に入ることにしたらしいけど、俺は何もしなくて良いのかッて…｣

｢中也が何すんの？｣

｢な、手前、それは………｣

｢何？｣

｢……ここまでやっちまったら判るだろうがよ……｣

｢判んない。｣

｢は！？｣

｢悪いと思ってんなら、ちゃんと云ってよ、中也。｣


とりあえず、攻める。

じっと彼の瞳を覗き込めば、バツが悪そうに逸らされた。

こんなに焦ってる中也は見たこと無くて、少し新鮮だ。


.