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短い話たち。

第7章 しち (BSD/中原中也)



「何で、こんなこと………」


本当は怒っても良いような事だろうに、混乱して、口を出たのは弱々しい言葉。

中也の胸に当てた手を、彼のベストごとぎゅっと握りしめる。皺なんて気にしてられるものか。


「……悪い、。」


少し上から聞こえてきた言葉が意外で、思わず顔を上げて仕舞った。

しかも其処には苦しそうに顔を顰(しか)めた中也が見えて。

いやいや、苦しいのは此方だっつの。


「俺が西に行ってる間に、手前が他の野郎と相棒組んでたッてのでも苛々してたのに、挙げ句に太宰が………くそっ」


心底忌々しそうに吐き捨てる中也。太宰のことを話せば何時も彼はこういう顔になるけれど…

待て待て待て。苛々してた?中也が?何で??

私も鈍くはない筈だから導き出せることは期待しか無くて、だけど真逆、中也が私を女として見てるだなんて想像ができなくて。

とりあえず最後の太宰が…の後が悪い予感しかしない。


「ちゅ、中也……太宰が、何?」

「は、手前が云ったんじゃねェのかよ……ポートマフィア抜けて、探偵社に行くッてよ。」


…………は??

全く身に覚えが無いことで、思考が止まる。

別に私はポートマフィア命な訳ではない。首領は嫌いだけど。

でも、だからといって探偵社に入るなんて考えたことない。

ていうか、私が中也から離れる何て有り得る筈ないのに。


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