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短い話たち。

第7章 しち (BSD/中原中也)



「っん、んん…………」


部屋に響く水音。それに口から漏れるくぐもった声。

抵抗として必死に舌を引っ込ませるけれど、中也は容赦無く追い込んで来て深く絡ませられる。

如何して此の状況に為っているのか全く理由が判らない。というか先ず、私と中也はこう云うことをしていい関係では無かった…筈なのに。


「っはあ、中也……!」


されるがままでは埒が明かない。

深い口付けに緩みそうになる体に何とか力を入れて彼の胸をぐっと押せば、思いの外簡単に中也との間には空間が出来た。

直ぐには彼を見上げられなくて、俯いて唇を噛んで溢れそうな涙を堪える。


中也とは小さい頃からポートマフィアで一緒だった。

私も気は強い方だから、何か有れば言い合いばかり。其れを止めるのは何時も紅葉姐さんで。

中也は重力操作で体術遣い、私は後方支援向きの精神操作というのもあって、私と中也のコンビは双黒と並ぶレベルだと云われていた。

彼は口は悪いし手は直ぐ出るし、おまけに何時も太宰にいじられてて残念なとこもあるけれど。

其所がまた良い所だし、何より彼は根が優しいのだ。

私が中也に特別な感情を抱くのに時間はかからなかった。

けれど今の関係を壊したくは無かったし、何より告白何てする勇気はない訳で。

そうやって今まで"相棒"と云う関係に満足してやってきたのに、こうも容易く、其れも向こうから壊してくるなんて。


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