第4章 よん (BSD/中原中也)
「ちょ、姐さん……!?」
「いいのいいの。今起こしてもあれだから。はい、ぶっ込んで。」
戸惑う道造に、早く中也を乗せるよう急かす。
そして中也を乗せたのを見届けて、私は助手席に乗り込んだ。
道造もそれ以上何も聞かずに運転席に乗り、車は走り出す。
それから車は数十分でマフィアの拠点に到着し、その間私と道造の間には全く会話はなかった。
拠点には連絡を受けたのか数人の構成員が待ち構えていた。
「じゃあ道造、久作は頼んでいい?多分動かしても暫くは起きないと思うから。」
「あ、はい。とりあえず首領のところに連れて行きますけど…姐さんはどうします?」
……屹度今の私は相当すごい顔をしていると思う。
死んでも森さんには会いたくない。
今日の会合にだって行かなかったのに。
「いやいやいや、行かないよ?」
「あ、そうっすよね…」
全く、愚問だ。
私がマフィア時代でさえ森さんと反りが合わなかったのは彼も知るところであろうに。
まあ、いいけれど。
「それじゃあ姐さん、中原さんお願いします。」
部下に久作を抱かせ、道造はぺこっと軽くお辞儀をして、先に建物の中に入っていった。
それをひらひら手を振って見送り中也を見れば、丁度佳い時機、彼は眉を寄せて小さく呻いた。
.