第4章 よん (BSD/中原中也)
「Q、大丈夫っスかね?」
中也を抱えながら、道造が不審げに久作を見る。
大丈夫、とは今の彼の体がという意味ではなく、起きて暴走して仕舞わないかということだろう。
久作はマフィア内でも恐れられて座敷牢に入れられていた能力者だから。
私は彼の額に手を当てる。
乞うやって眠る姿は可愛らしいいたいけな少年であるのに。
「うん、人形が見当たらないところを見ると、其れは多分太宰が持ってるんだろうから大丈夫。でも今目覚められても面倒だからもう一度寝かせておくよ。」
太宰は久作の能力を止められる唯一の存在。
私も精神操作の能力だから出来ないこともないが、一人一人遣らなきゃいけないから効率が悪いのだ。
私は私で、能力を使って今一度久作を深い眠りに誘う。
「よし、じゃあ車に乗せるか。」
私も久作を抱っこして車に向かって歩き出す。
一つのでかいクレーターの他にも小さなものが幾つか見える。
……太宰少し暴走楽しんでたな。
こんなことなら私も付いて来てれば良かったと思うけれど、後悔先に立たずだ。
「………ん……」
「あ、姐さん、中原さんが!」
「…げ」
久作を後部座席に座らせ、次は中也をと思っていれば彼が目を覚ましてしまった。
「ん……………??」
「中也、もう一回寝て」
今目覚められても道造がいるし一寸色々面倒臭い。
私は先程久作にやったように、中也の額に手を翳して意識を飛ばした。
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