第4章 よん (BSD/中原中也)
「……あ、姐さん着いたみたいっスよ」
道造がそう言って車を止める。
其処には小さな山小屋があって、車を降りてみれば成程、暴れた跡があちらこちらに見受けられた。
……あと、特徴的なクレーターのような地面の窪み。
『汚濁』を使わなきゃいけない程の相手だったとは。
「もうギルドの奴等は撤退したみたいですね…」
道造も車を降りて辺りをきょろきょろと見回す。
あの『双黒』が暴れたのだ、辺りには多くの血痕が飛散していたが、ギルドの構成員の姿は全くなかった。
念のため辺りを確認しながら山小屋に近付くと、其の物陰に、恐らく力尽きて倒れた侭運ばれた俯せの中也と、まるで眠り姫のように山小屋の壁に凭れて眠る久作を見付けた。
「道造、此方。」
ちょいちょいと手招きして道造を呼ぶ。
「悪いんだけど、中也運んでくれる?私は久作を運ぶから。」
能力で中也を操って動かせばいいのだが、今は一応道造もいるから頼んでおく。
中也は小さいから道造なら楽々運べるだろう。
なんて、そんなこと本人に言えば怒られるけれど。
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