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短い話たち。

第3章 さん (不機嫌なモノノケ庵/阿倍晴齋)



「っ……!?」


驚いたが顔を上げる。
モジャはそんなの顔を見て、いいよ、と目線で伝えるが。


「モジャ、大丈夫だよ。気にしないで。」


全く聞く耳を持たない彼女に、モジャは一度ぐっと押し黙る。

そして、今度は俯いてしまったの頭に飛び乗り、体で髪をわしゃわしゃとかき混ぜた。


「わっ、ちょっとモジャ!」


モジャの行動に、が焦って声を上げる。

モジャを見れば、俺についてこいと言うような顔でを見ながら、彼女の隣に伏せた。


「甘えとけばいいんじゃねえの。」


モジャの言葉を代弁するように、阿倍が言う。

それに合わせてモジャはブンブン頷き、ニコッとに笑いかけた。

ここまでされると従わざるを得ない。


「……ん、ありがと、モジャ。」


も小さく笑みを返して、モジャに頭を預けて横たわる。

ふわふわの毛がとても気持ちいい。

横になったことで気分も少し和らいだ気がした。

モジャもの役に立てて嬉しいのかニコニコと上機嫌に収まっている。

それまで彼女たちを見届けていた阿倍は、徐に立ち上がると横になるに近付き、傍らに座り込んだ。


「……どうしたの、晴?」


阿倍が何故こっちに来たのか分からず、首を傾げる。

だがそれからの阿倍の行動には、驚かざるを得なかった。


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