第3章 さん (不機嫌なモノノケ庵/阿倍晴齋)
「っ、ちょ、晴……!」
阿倍はの問いに答えることなく、彼女の制服のカーディガンを少し捲り、スカートの上からのお腹に手を当てたのだ。
そしてそのままゆっくりと撫でさする。
「晴……!?」
普段の彼らしからぬ行動に、とりあえずは動揺を隠せず。
勿論恋人であるから優しさがないというわけではないが、彼はあまりそれを表には出さない。
前に、たまにはデレてよと言ったら案の定すごい顔をされた覚えがある。
「少しは楽か?」
「ん、うん、」
「ならいいけど。」
実際こういうときはさすられるだけで少し痛みが治まる。
その手の温かさと程好い行き来、そして今の時期にしては暖かめの気候も相まって、は睡魔に誘われる。
「芦屋が来たら起こすから、しばらく寝てろ、。」
「ありがと、晴…」
が寝たのを確認して、阿倍は着ていた羽織を脱いで彼女に掛けてやる。
辛いときくらい甘えてくれてもいいものだが、彼女は実際それが出来ない質であるのはよく分かっている。
だからこそこっちから甘えさせてやらないといけないのだ。
阿倍はふぅ、と小さく息をつき、の黒髪を撫で、その目許に口づけた。
Fin.
(………!!)
(…毛玉何も見てねえよな?)
(ブンブンブンっ(首肯))
(俺いつ入っていいんだろう……)