第5章 金沢観光
カラ松とまつのくりすてぃーぬは境内を一回りし、神社を後にした。
「まだ5時過ぎか・・・腹減ってるか?」
「うん、お腹空いた。お弁当の量少なかったもんね。」
「よし、じゃあ少し早いが、チョロ松の調べてくれた店へ行こう。」
カラ松はスマートフォンを取り出し、地図を確かめた。
「こっちだな。」
二人は金沢城址に沿って歩き出す。
「なあ、まつのくりすてぃーぬ。さっき神社で何をお願いしたんだ?」
「んー、カラ松は?」
「俺の願いはただ一つ。まつのくりすてぃーぬの幸せだ。」
「じゃあ、私もカラ松の幸せ。」
「じゃあ・・・」
カラ松は取って付けた様なまつのくりすてぃーぬの答えに喜んでいいのかどうか複雑な顔をしている。
その時、すれ違った小さい男の子が「ガイコツ・・・!」と小さく言って、手に持っているヒーローの人形を握りしめた。
カラ松がしているベルトのドクロに驚いたのだろう。
すれ違った後も男の子は振り返り、今度は革ジャンに描かれているドクロに怯えている。
あんぱんの顔をもつヒーローの人形は握り潰されている。
「なあ、俺のドクロ、恐いか?」
カラ松はおずおずとまつのくりすてぃーぬに尋ねる。
「うーん、私は慣れたけど、小さい子は恐いだろうね。」
「そうか・・・」
「それにカラ松、サングラスしてるから余計に恐いかも。ボトムもスパンコールで光ってるし。それ、どこで買ってんの?」
「いたいけな子供を恐がらせるのは俺の趣味ではないのだが・・・しかし、これ以上に俺を引き立てるファッションが存在しないのも事実・・・!」
「そーだね。」
返事をしながらまつのくりすてぃーぬは、小さい子がカラ松の注意を逸らしてくれて良かったと思った。
”カラ松がずっと笑顔で暮らせますように、そしてカラ松のお願いが全て叶いますように”
この願い事をカラ松本人に面と向って言うのは、なんとなく恥ずかしい。
「スタイリッシュでありながら子供達にも受け入れられ、更にカラ松ガールズ&ボーイズの期待を裏切らないファッション・・・」
カラ松はぶつぶつ呟きながら、クール且つ子供を恐がらせないファッションについて真剣に考えている。
こういう所はバカだなぁとまつのくりすてぃーぬは思う。