第5章 金沢観光
二人が兼六園を見回るには1時間程かかった。
「どこもかしこもキレイだったね。」
「ああ、素晴らしかった。」
「唐崎松ってあったよね!なんかカラ松の名前に似ててびっくりしちゃった。」
「この俺を歓迎するサインなのかもしれん。いや、きっとそうだ。兼六園、お前の愛、受け取ったぜ。」
「・・・うん。そーだね。」
おそらく、眺望台では感激のあまりにカラ松は涙を流したのだろう。そして、それを隠すためにサングラスをかけたに違いない。
まつのくりすてぃーぬは普段と違うカラ松の一面にびっくりしたものの、その後はいつも通りの調子で話すカラ松に今まで感じたことのない愛しさを覚えた。
「さあ、次は尾山神社へ行こう。」
「あ、さっきバスで通ったとこ?」
「そうだ。前田利家と、まつの方が祀られているらしい。」
「へー、なんか前、大河ドラマでやってたよね。」
カラ松は「そうだったな。」と言いながら、まつのくりすてぃーぬの足に目を向けた。
「なあ、足は痛くないか。」
「大丈夫だよ?どうして?」
「そうか、レディーの靴は歩きにくいんじゃないかと思ってな。」
カラ松はどうしてこう、細やかに気遣いができるのだろう。
「ありがと。今日は歩きやすい靴だから大丈夫だよ。」
「じゃあ、神社まで歩いていかないか。もし疲れたら抱っこするから言ってくれ。」
「それは恥ずかしい。」
二人は笑いながら歩き出す。