第5章 金沢観光
シャトルバスは1時間に3本出ている。
5分程待つと、バスがやってきた。
二人は10人程の団体の後に続く。
カラ松は自然にまつのくりすてぃーぬを窓際に座らせる。
「窓際いいの?カラ松も外見たいよね?」
「十分見えるから大丈夫だ。それに、まつのくりすてぃーぬが楽しめることが一番だからな。」
ありがとうの代わりにまつのくりすてぃーぬはカラ松の手をぎゅっと握った。
バスは尾山神社や21世紀美術館を経て、兼六園に着いた。
入口には"特別名勝 兼六園"と掲げられている。
入場無料なので、そのまま二人は中へ入っていく。
眺望台へ差し掛かった時、二人とも息を呑んだ。
すごい。
カラ松は思わずサングラスを外す。
眺望台からは雄大な山々が見渡せる。
その山々は見る者を圧倒する迫力と、気高さをもってこちらに微笑みかけている。
「これは・・・」
感激で言葉が出て来ない。
まつのくりすてぃーぬもカラ松もお互いの手を握り合うだけで、その感激を共有した。
同じ場所にいた初老の男性が「この山々が金沢の文化を生み出したんだろうね。」と、奥さんらしき女性に話していた。
難しいことは分からないが、金沢に着いた時から感じていた気品の根源を目の当たりにした気分だった。
ふと気付くと、カラ松がサングラスをかけている。
こんなすごい景色を見ているのだから、今ぐらい外したままでいいのにと思った瞬間、カラ松の頬を一筋の涙が伝った。
まつのくりすてぃーぬは驚いてカラ松をじっと見つめてしまった。
「ん、ど、どうしたまつのくりすてぃーぬ。」
「ん?あ、な、なんでもない。」
まつのくりすてぃーぬは慌てて視線をカラ松から外した。