第3章 車内
二人の乗っている新幹線「はくたか」は、停車駅が多い。
糸魚川というアナウンスでまつのくりすてぃーぬは目を覚ました。
「ん・・・」
「起きたか?」
カラ松は優しくキスをする。
「うん。ありがと。肩痛くない?ごめんね。」
「大丈夫だ。この肩はお前のためにあるからな。」
カラ松はまつのくりすてぃーぬの腰に手を回すと、窓の外を指さした。
「糸魚川に着いたぞ。もう新潟だ。」
「ほんとだ。」
二人が話している間に、新幹線は動きはじめる。
建物の間から海が見える。
「あ、海!」
静かにキラキラと輝く日本海は、太平洋とは違う魅力がある。
カラ松とまつのくりすてぃーぬは黙って景色を眺めた。
しばらくすると、カラ松が寝息を立てはじめた。
まつのくりすてぃーぬは微笑んでカラ松に肩をかす。
ふと、カラ松の背面テーブルに目をやると、ガイドブックにメモが挟んである。まつのくりすてぃーぬはそっと、そのメモを引っぱった。
メモには旅行の計画が細かく書かれている。
カラ松の字と違う字も沢山ある。
誰の字だろうと考えていると、「あ」という声がする。
「あ、ごめんねカラ松。勝手に見ちゃって。」
まつのくりすてぃーぬは悪いと思いすぐに謝る。
「い、いや、いいんだ。」
「ごめんね、もう見ない。」
「いや、見てくれて構わない。ただ、恥ずかしくてだな。」
「ごめんね・・・あの、カラ松の字じゃないのもあるね。」
「ああ!これはな、チョロ松の字だ。俺が悩んでいるのを見かねてな、チョロ松が手伝ってくれたんだ。」
「チョロ松くん、調べるの得意そうだもんね。」
「あいつはすごい。まあ俺の弟だからな。」
「カラ松、こういうのちゃんとメモするんだね。」
カラ松がチョロ松に手伝われながら真剣にプランを練ってくれたと思うとまつのくりすてぃーぬは心から嬉しくなった。
「カラ松大好き。ん。」
まつのくりすてぃーぬはカラ松にキスをする。
唇だけでなく、頬にもする。
ぎゅうっとカラ松を抱きしめる。
カラ松は顔を真っ赤にしている。
通路を隔てた席に座っているサラリーマンが見て見ないフリをしている。
その空気に気付いたまつのくりすてぃーぬは少しやりすぎたかなと思い、
「大好き」
ともう一度囁き、体を離した。
カラ松は真っ赤な顔をこくり、と縦にふってまつのくりすてぃーぬの肩に手を回した。
あと40分程で金沢に着く。