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淡い恋 [刀剣乱舞]

第5章 儚い恋


翌朝、春香は本調子ではないものの、出来る事をしなければと思い、近侍である加州を探しに部屋を出た。
加州はちょうど、安定と一緒に居間に居た。

「あっ!主様!もう起きて大丈夫なの?」

安定が目を丸くして春香を見た。

「うん。大丈夫。心配かけてごめんね。安定ももう大丈夫なの?」

春香はえへへと笑いながら、二人の向かいに座った。

「僕たちは、手入れ部屋にすぐ入ったから、もう大丈夫だよ。ね、加州。」

お前も何か話せと安定が加州を促す。
加州はなんとか笑顔で答える。

「う、うん。あのさ…昨日、目が覚めた時…お見舞い行けなくてごめんね。」

「ほんと、ミツが来てくれないから寂しかったんだよ。って、目が覚めた後、またすぐ寝ちゃったけどね。」

いつも通りに春香は返すが、加州にとっては、胸が痛い。
本当は部屋の前まで行ったが、一期を想って泣いている春香に、どんな顔をして会えばいいのか分からず、立ち去ったとは口が裂けても言えない。
そんな事は、春香も、安定も知るはずがなく…

「なんだ。僕はすぐにお見舞いに行ったと思ってたのに。」
「手入れ部屋出てすぐだったから、部屋で休んでたんだよ。」

安定にそう返す加州に、春香は心配そうに、覗き込む。

「ミツ、体調良くないの?あんまり無理しないでね。」
「お、俺は大丈夫だから。春香こそ、無理しないでね。」

加州はなんとか笑顔で答えるものの、上手く目が合わせられない。
気持ちがぐちゃぐちゃとしていて、胸が苦しいのが表に出てしまいそうだ。
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