第10章 心の答え
「主よ…悪いが、いちゃつくなら、他所でやってくれぃ…」
「バカ、兼さん!こっちがどっかに行けばいいでしょ!」
「僕は兼さんの言う通りだと思う…」
三人の声に、二人は我に返ると、慌てて離れた。
「ご、ごめん!兼さんたちの邪魔するつもりじゃ…」
「へいへい。主よ、急いでたのは分かったんだが、その、足を晒した状態で、ましてや、男所帯のうちで、座り込むのは目のやり場に困るから、勘弁してくれ。」
和泉守が、目頭を押さえながら忠告した。
そして、現世の服のままだと気づいて、慌てて身なりを整えた。
その隣では、安定がほっとした表情をしている。
加州と目が合うと、「良かったね」と小声で言った。
それに対して、加州は照れながら笑った。
「とにかく!やっと主さんが、いい笑顔になったね!なんだか、僕まで嬉しくなってきた!」
「おっ!じゃあ、今日の夕飯は期待していいな!?」
堀川の言葉に、和泉守が期待を込めて言った。
そんな、賑やかな中、春香と加州は顔を見合わせて、照れ笑いを浮かべた。
稽古場の入り口から、一期がほっとした表情で、去って行く。
「やっと、貴方の心の答えを見つけたんですね…私は、そうやって笑いあってる二人が好きですよ。今も、昔も…」