第4章 念願のデート
ついに、一期は皆に認められて一番隊となった。
ここに来るまで、半年を要した。
ひたすら上を目指していた一期にとって、長かった様な、短かった様な、そんな半年間だった。
そんなある日、一期は春香に呼び止められた。
春香は、あの時の約束を果たそうと言ってくれたのだ。
そうして、二人はクリスマスシーズン真っ只中の現世へと行く事になった。
「え!?この時期の現世に行くの…?」
加州は頭を殴られた様な衝撃を受けた。
春香が、明日は一期と現世へ行くと言いだしたのだ。
あろう事か、この時期に。
しかも、二人きりで。
「あ、明日じゃないと、ダメ?」
なるべく平静を装って、返事を返す。
それにあっさりと春香は頷いた。
「うん。明日なら朝の内に終わらせられそうだし、明後日からは年末の仕事納め前の任務ラッシュに入るでしょ?」
「そ、そうだけど…」
「ん?なんかあった?」
「いや…別に…なんでもないよ。じゃあ、明日はいっぱい楽しんでおいで!」
なんとか笑ってみせるが、自分でも引きつってる顔が分かる。
春香は気づいてない様で、嬉しそうにうんと頷いた。
「ありがとう!ミツ。お土産買ってくるね!」
そう言うと、鼻歌を歌いながら、畑の方へ行ってしまった。
「なんで…一期と…」
加州はその背中を見送りながら、自分の体がだんだん重たくなっていくのを感じている。
「おいっ、加州。そこにつったってると邪魔になるだろって、おい!?加州!?」
たまたま通りがかった和泉守でも分かるほど、加州の顔色は悪い様だ。
「だ、大丈夫か!?」
「あ、あぁ。大丈夫…」
ふらふらっと加州はそのまま廊下を去って行った。
「あいつ…本当に大丈夫なのか?」