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淡い恋 [刀剣乱舞]

第3章 無自覚の三角関係


「さすがだね、すっごく美味しい!」

皆で居間へ行くと、堀川達がお茶の準備をして待っていた。
さっそくクッキーを一口食べた春香が嬉しそうにしている。
堀川は、和泉守が見当たらなくて少ししょげていたが、美味しそうに食べる主に満足げだ。

「クッキーかぁ、僕、食べるの初めてかも。…って、まだ拗ねてるの?そんな事してたら可愛くないんじゃないの?」
「分かってるよ!」

安定は、手に取ったクッキーをまじまじと眺めながら、加州に嫌味を言っている。
その横で、加州は少しむくれている。
春香が、クッキーを作ってくれた堀川と今剣、五虎退をずっと褒めているのだ。
しかも、ただ褒めるだけではなく、頭を撫でたり、照れてしまった五虎退に抱き着いたりしているのが原因だ。

「…ここんとこ、皆の事は良く見て褒めてるのに、俺だけ褒めてもらってない…」
「何か言った?」
「俺って可愛くしてても、扱いづらいのかなぁって。」
「扱いが難しいのは、生まれた時からでしょ?」
「…そうだよねぇ。」
「それでも、沖田くんみたいに、僕たちを長く傍に置いてくれてる主に何か不満でもあるの?」
「・・・」

不満だ。とは、思っていても言えない。
主の前では、可愛い加州清光で居たい。
しかし、やはり他ばかり見てられると、不満にもなる。
さっきも、一期と二人で楽しそうに話していたので、気になってしたかなかった。
複雑な感情の揺れる中で、加州は春香を見つめていた。

「ミツ?食べないの?美味しいよ?」

春香は、加州の視線に気が付いたのか、二人の方へやってきた。

「食べるに決まってるじゃん!すっごく美味しそうだし!」

慌てて笑顔を作って、クッキーを手に取った。
それを見て、春香は嬉しそうに同じく、クッキーを手に取って食べた。

「うん、美味しいね!」
「美味しい?僕も加州も、見るのも食べるの初めてだから、ちょっと躊躇しちゃったんだよね。」

安定が、苦笑いを浮かべた。
それを聞いて、なるほどと納得した春香は、クッキーを加州の口の前に差し出した。

「じゃあ、あーんして?」
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