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淡い恋 [刀剣乱舞]

第3章 無自覚の三角関係


「あっいた!あるじさま〜!」

一期の止まりそうになっていた時は、今剣の元気な声で現実に戻された。
てててっと可愛らしく走って春香の傍により、ちょこんと横に座ると、目を輝かせて話しかけた。

「あるじさま!いまね、このまえ、ほりかわがあるじさまにかってきてもらった『ほん』にのっていた、『くっきぃ』っていうのを、ごこたいとさんにんでつくったんです!みんなでたべれるように、たくさんたくさんつくったんです!だから、あるじさま、たべてくれませんか?」

今剣は凄く嬉しそうだ。
その可愛らしい頭を微笑みながらよしよしと撫で、春香は頷いた。

「ありがとう!食べたいな!じゃあ、皆でおやつにしよっか!堀川にお茶を準備する様に伝えてくれる?」

今剣の目はぱあっと嬉しさで溢れ、勢いよく頷くと、また走って台所の方へ戻って行った。
春香はそれを嬉しそうに見送ると、立ち上がって手合わせ組に向かってパンパンと手を叩いた。

「そこまで!今剣たちがおやつ作ってくれたんだって。みんなでお茶にしましょう。」

ピンと張っていた空気が一瞬にして緩んだ。
お互いに礼をして、気づいた点などを話しながら出口へと向かっていく。
一期は、春香が立ち上がるのを確認してから立ち上がり、その後ろをついていく。
ふと、春香が後ろを振り返り、一期の横に並んだ。

「皆の手合わせを見て、どうだった?」
「そうですね。 やはり、皆から学ぶ所は沢山あります。鶴丸さんの的確な判断力や、鯰尾達の俊敏さなどは、私にはありませんので。」

それを聞いて、春香はふふっと笑った。

「あ、あの、私は何か変な事を申しましたでしょうか?」
「ごめんね、違うの。本当にちゃんと見てて、凄いなぁって。私なんて、2年経ってやっとその辺がわかる様になってきたかな。」
「そんな、私なんてまだまだ主様の足元にも及びません!」
「逆だよ。私の方がまだまだ未熟者だから。…先に行ってるね!」

謙遜する一期にまたふふっと笑って、春香は加州のところへ走って行ってしまった。
その姿を目で追う一期は、自分では気付いていないだろうが、嬉しいような、悲しいような、複雑な顔をしていた。
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