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淡い恋 [刀剣乱舞]

第2章 一期一振、現世へ行く。


一瞬のまぶしさに目を閉じている間にどこかの部屋へ繋がっていたようで、辺りをみまわしている。
どうやら、主の現世の部屋らしい。
たまには帰っているらしく、掃除もしっかりとしてある。
梅雨入り前だという事だが、カーテンがしてあるとは言え、部屋の中は蒸し風呂状態になっている。

「う…さすがに窓開けなきゃだね!」

春香は急いでカーテンと、窓を開けた。
そして、玄関へ向かうと、靴を取り出し、一期に履かせた。
いざ出発と言う時、ふと、何かを思い出した様に春香は一期の方へ向き直った。

「現世では私を絶対主と呼んではダメよ!主なんて呼ばれてたら周りから変な目で見られちゃうから。」
「で、では何とお呼びすれば…」

一期は戸惑っている。
春香は簡単な事と言わんばかりにあっさりと答えた。

「名前で呼んで。それとも、あだ名で呼ぶ方がいい?」

真面目と優しさが取り柄だと言われる様なタイプの一期は、慌てている。
主を名前で呼ぶなんて恐れ多い様だ。

「そっそんな…!主を名前で呼ぶなんて、私にはっ…!」
「でも、周りから怪しい目で見られるのは困るでしょ?じゃあ、練習してみる?」

春香は早く呼んでみろと一期に名前で呼ばれるのを待っているので、緊張で声が上ずりながら呼んだ。

「……春香…様…」
「様つけちゃだめ!もう一回!」

めっと子供に怒る様にして春香は怒った顔をした。
どうやら、ちゃんと呼ぶまで何回もやるつもりらしい。
一期は覚悟を決めて、呼んでみた。

「…春香…」
「はい。」
「…!」

春香が満足げな笑みを一期に向けて微笑みかけたので、不意を食らった一期は心臓が跳ね上がった。
そんな一期の状況など知らない春香は、よしと玄関の扉に手をかけている。
一期は心臓を落ち着かせるために胸に手を当てた。

「さてと、じゃあ、一期の初現世。いってみよ~!」

春香が声高々に宣言して外へと向かっていく。
一期も、深呼吸をしてその後を少し緊張の面持ちで続いていった。
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