第3章 到着
隠し事をしても開心術や真実薬を盛られたらバレてしまうのなら最初から話していた方が後々のためだろうと判断し少女は自ら話すことにした。
『あ、あの!実は大切なことが一つありまして…』
少女はこの世界が、魔法使いの世界であることを知っていること。そして自分のいた世界ではここは物語として存在していて魔法使いは自分の知る限り存在していなかったこと。だから多少なりとも勝手は分かるが異世界のような所からこちらに原因不明で来たので身寄りはもちろん無いこと。などをしどろもどろに伝えた。
「なるほど…知っている、とはどこまで知っているのじゃ」
『この時代はほとんど知りません。物語としてあったのはもう少し先のあなた方から見れば未来のお話ばかりでしたから…変身術のアルバス・タンブルドア先生であることは名乗られなくても知っています。』
実はトム・リドルも、名前だけ知ってた、とまさかのカミングアウトで少年は面食らった。
異世界から来たという話でさえ若干優秀な彼の頭脳でも理解に苦しむ所があるのだが未来まで知っていたとなると少年は考えることを放棄したくなってしまったのだ。
「これはこれは失礼じゃった。わしはこのホグワーツ魔法学校の副校長と変身術の教師をしておるアルバス・ダンブルドアじゃ。」
全く失礼だと思ってい無さそうな感じだが差し出された手を少女は握り返した。
さっきまで警戒心の瞳を向けていた癖になど、決して思ってはいない。
思っていない。
「トムよ。お嬢さんを連れてきてくれてありがとう。君はもう寮に帰りなさい。明日が早い。」
理解の量をオーバーしていたので少年はゆっくり整理するには丁度いいと思い、老人の促しに素直に従ったら。