第23章 アナタシダイ
『ねぇ、どうするべきかな』
少女は誰もいない森で白い馬を撫でながら誰にでもない誰かに質問をしていた。
角を少女に擦り付けリラックスしたような一角獣は低く啼くとまた目を閉じる。
夏休みの課題だってとうに終わった。
来年の予習だって抜かりない。
負けないように、とDADAや薬草学、魔法薬学は力を入れたからふくろうレベルまで到達してるかもしれない。きっとそのぐらい学ばないと少年に決闘で勝てる気がしないのだ。
『秘密の部屋を開かせたくない、よね』
まだマートルは生きているのだ。
マートルと仲良くはないけどとりあえず今年はマートルとお近づきになりたいな、と考える。
『マートルにも死んで欲しくはないな、ハグリッドも退学なんてして欲しくない…』
マートルとハグリッドと仲良くなろう。
他寮だが、例えスリザリンの自分でも仲良くなれるだろう。はじめは難しいかもしれないが、スリザリンにしてとお願いしたのだ。組み分け帽子は別の組を選んだかもしれない。
この時少女は完全に忘れていたのだ。
少年は少女がこの世界に突然現れた異分子であること、そして何か未来を知っているということを知ってるのだ。
少女が突然他寮の生徒に、しかも悪く有名な人間と仲良くなるだなんて、まるでそこになにか秘密がありますと言っているようなものなのだから。