第22章 かわらない・かわれない
「ヒカル?ここ最近ずっと勉強してるけれどそんなに試験が不安なのですか?」
休校になった妖精の魔法の授業の間半ば強制的にお茶会に連れられた少女を友人二人は心配そうに、しかしスリザリン特有のプライドからなるのか決して甘やかすような親身さはなくあくまでただの〝お茶会〟をひらいた。
「貴女ははじめてかもしれないけど3年目のあたし達がいるんだから試験に不安なら相談しなさいよ」
『うん、アンバー、アンナありがとう』
「他になにか思うこととかあるの?」
「ヒカルはずっと、何か、考えてるような、でもそれを放棄してるような…なんだかヘンでしたわ」
『そんな、こと……』
日本人の少女とは違う磨かれた宝石のようにキラキラとした淡い茶色の瞳には、隠されることこない心配の色が浮かんでいた。
『ちょっと色々あってね…自分じゃ力不足だなぁーって…』
「そんな!ヒカルは私たちと違ってここへ来て1年目でしょう?十分やっていますわ」
「むしろあたし達よりしっかりやれてるわ」
「そうですわ。まあ、少し足りないといえば貴族の嗜みぐらいですもの」
『アンバー…ダンスの練習は勘弁よ』
「あと貴女に足りないと言ったら胸(ココ)ぐらいかしら?」
『アンナ!?最近自信があるからって酷い』
「とにかく!貴女は十分にやってるわ。頑張りすぎは体に毒よ。休まないとか育つものも育たないわ」
「ヒカルは最近思いつめてばかりで笑ってませんでしたもの。力になれることは少ないかもしれないけど…話せることは話してくださいな?」
友達ですもの、と友人達は少女にふわりと微笑んだ。
少女は久方ぶりの交友を心ゆくまで楽しみ終わる頃には明るい笑顔を顔を覗かせたのだった。
また友人達はその笑顔に安心したのであった。