第22章 かわらない・かわれない
テストが近づくにつれ生徒の緊張は高まり、保健室のマダムにお世話になる生徒が増えてきた頃、少女は自室にこもりがちになっていた。
少年と少女の間柄なんて一時的に話題にも上ったが大した盛り上がりを見せることなく変わらずに、そして傍目には穏やかであった。
ルームメイトと仲が悪くなった、なんてことは無くアンバーもアンナもこの所どことなく宙ぶらりんの少女を心配している。
少女はただ、ただ談話室を横切りたくがないために週末はホグワーツの自室に逃げ込んでいるだけであった。
あれから傍目には穏やかな関係が継続しているように見えても二人の関係性は静かに変化していた。
少年との決闘の訓練は日に日に回数を減らし、少年はマルフォイ家とブラック家の青年と放課後を共にすることが多くなった。(今までは少女の自室の勉強部屋で放課後を過ごしていたため傍目には変わらないのである)
少女は今まで以上に放課後や週末は自室の勉強部屋で自習することが増えた。
魔法界一年目とはいえ少年に比べると使える魔法も知っていること魔法の原理様々な知識が劣っていたからである。
少女にその自覚があったのか、ただただ何かかから逃げるように目の前の勉学にがむしゃらに手を出したのか、(今となってはどうでもいい事だが)以前より格段に勤勉な少女へと変貌を遂げていた。
知識に目を輝かせる訳でもなく、テストに追われる修羅のようなギラついた目をするわけでもなく、ただただ虚ろに勉学に没頭するよう励む少女を見て友人の二人が心配しないはずがないのである。