第22章 かわらない・かわれない
アンバーとアンナは友達だもの、と微笑んだ。
少女がトモダチになろうとしている少年はどうだろうか、と夜ベットのカーテンを閉ざし少女は思考を巡らせる。
あの二人はきっと何があっても変わらず友人でいてくれるだろう、そうどこかで少女は思えるのだった。
トモダチになりたい、そういった日からはたして幾度少年と言葉を交わしただろうか。
『このまま、なのかな…』
何を目的で近づいてきたか分からない。しかし少女は少年との距離を以前より遠く感じていた。
以前から全く音沙汰のなくなった黒い手帳の表紙を撫でる。
少年の闇はこのマグル生まれのモノを拒否しているのかもしれない。
純血主義に完全に染まってしまっているのかもしれない。
そんな憶測ばかり頭をよぎってしまうのだった。
隣に立ちたい、並びたいからこそ力を求めた。
その為に試験の他に勉強を進めている。
年とともに魔力は増幅する、と話を聞いたが少女の体は成長しない。
今ある魔力が限度なのかもしれない。
そう考えると知識だけじゃ少年には叶わない。
知恵を体力を魔法以外のことを身に付けなければならない。
闇雲にもがいてる事を自覚しながらもそれ以外に道が見えず、道を探すことを半ば諦めている少女にはこれまでのように闇雲にもがく以外仕方がないのであった。
変わりたい、と願ったのが少女自身の本心なのだから。
【かわらない・かわれない】