第16章 ささやいて
年が明け、生徒がもどり活気溢れるホグワーツの冬も中ほどまできた頃、少女の周囲は色めきだっていた。
そんな少女は青い瞳を輝かせた老人と2人お茶会を開いていたのだった。
「今回も見事じゃな」
『焼くのは相変わらずコーニーがやってしまうんですよね…』
二人の前には皿に盛られた美しい焼き色のチーズタルトがあり、紅茶は芳醇でフルーティーな良い香りが部屋を満たしている。
「ヒカルの国ではバレンタインは大変なんじゃなぁ」
老人がそう感想を述べたのは少女が以前のお茶会の席で故郷のバレンタインを嘆いたからである。
『でも、今年は大量に作らなくていいので楽ですよ』
「ホッホッホッ。でもその友チョコやらは作るのじゃな」
『んー…そうするとどこで区切るかにもよるんで微妙なんだよねー。ルームメイトぐらいにしようとおもってて』
「それがいいじゃろう。ヒカルはたくさん友人がおるからなぁ」
ある意味スリザリンらしくないな、とウィンクを決められる。
少女は紅茶を口に含みながら本当にこの時代で良かったと改めて思っていた。
ハリーポッターが二年生の年には是非とも行きたくないとバレンタインを近くにして改めておもったのだった。