第15章 生まれて初めて
『リドル君からのプレゼント綺麗だね!』
少女はほら、というように少年の前に手首を持ってくる。
そこには繊細な装飾の施された華奢なブレスレットが付けられていた。
丸い半透明の玉が一つついており、その中には小さくされた桜の花びらがあるようだった。
「ふん、僕のセンスだから綺麗じゃないと困る」
『今は日本に帰れないからね、嬉しいよ』
「は?今の日本に行っても君の家はないんだろう?」
『まぁーね…いつか、日本に旅行行きたいなぁ』
「日本のオンミョウという術には興味があるな」
いつどこで仕入れた知識なのか知らないが少年は陰陽道を知っているようだった。
少女は笑いながら少年に言うのだった。
『いつか一緒に日本に行こう、京都とか案内するよ』
陰陽道の中でも歴代一の力の持ち主だと言われる安倍晴明の神社があるんだよ、と言いそう言えば修学旅行は京都だったと思い出した。
『修学旅行、京都の予定だった…』
「修学旅行?ああ、元々いた世界でか?」
『うん、前にも行ったことあるんだけどね』
見た目は13歳という現代でいう中学1年生であるが少女は中学は卒業しているわけで、1度修学旅行を経験しているのだ。
「ならだいぶ先だが、修学旅行に日本に行こう」
修学といっても学年が違うからどちらかがタイミングはズレるだろう。
しかし珍しく少年の気遣うような提案に少女はぱちぱちと瞬きを繰り返す。
そしてにこりと笑って返事をしたのだ。
「うん!」
その後少女が日本の歴史を思い出したのはまた別の話である。
【生まれて初めて】
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ただ今日本は戦争の真っ只中です。
少女や少年が修学旅行に行くような年はまだまだ争いの最中という訳です。
いついくのでしょうか…
てか闇の帝王って修学旅行行くの…?